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よい週末を

昨日は今日とは違いすごい雨と風だった。昼間の仕事を終え、間も無く訪れる試練を知らずにスーツに着替え、楽器をケースに入れ肩に背負い電車に乗った。
山手線の外回りの恵比寿〜渋谷間はそもそも揺れるが、昨日はいつにもましてデンジャラス。そこそこ混んだ車内で楽器とバッグをたずさえ、ステージ衣装そのままの俺はよろけるわけにはいかぬ。表情を変えてもならない。しかもツバひろのハットをかぶっていたため、少しでも動けば隣や後ろにいる人のどこかにツバがあたってしまう可能性がある。俺は “ピタッ”、とした仕草で穏やかに揺られている必要があった。何度かの危機はあったものの80点ぐらいの達成感で山手線を降りた。渋谷駅である。
話はそれるが、俺が渋谷に頻繁に訪れるようになったのは1988年。その頃からこの街はずっと未完成である。以前はそんなところを愛していた。漫画「鉄コン筋クリート」のようなファンタジーを感じていたのである。今の渋谷は、やはり未完成を続けているけれど、ついに完成の様子を見せ始めている。その結果は、俺にはあまり似合わなそうであるが、しかしそれでも、そんな変化を見続けてきたからこそ愛せるところもある。
ーーーー渋谷駅で電車を降りた俺は駅構内を出る手前で外の様子を見て、目前に迫る試練を知った。雨が、やたらと激しいのである。室内から感じるそれには情緒を感じるが、打たれるとなれば半笑いで急ぐしかない。先述のとおり俺はスーツにハット。もちろん楽器を持っている。革靴に雨は最悪だ。当然傘をさしたい。しかしこの風はいかがなものか。このあと間も無くすれ違うであろう人たちを見ると、傘をささずに早足で歩いているか、おちょこ傘をどうにかしようと試みているか、だいたいそんな感じだ。俺は傘をさすことを諦めた。その代わりに、傘をきれいにまとめる為だけに存在しているバンドのボタンは外しておいた。そうすればいざという時にスイッチひとつで傘を傘としての役割を果たす為のものにすることができるからだ。そしてサックススターはためらうことなく雨と風の中に飛び込んだ。思った通りの不快感。俺が身につけているカッコいい服などは少々滑稽なものへと変貌した。こんな時には昼間に着ていた作業着の方がうってつけなのである。しかし俺はサックススター。気高くありたいと、同時にそう思いながら歩いた。そして目的地であるパームスに着いた。この日から4夜連続で開催されるビッグ・パーティーの初日にお招きいただいたのだ。ブラサキのアコースティック・セットに”矢沢洋子”ちゃん。洋子ちゃんとは初共演だったが、特に原曲キーで歌ったお父さまの名曲にはしびれた。5月には栃木にて、彼女のバンド”PIGGYBANKS”と対バン。楽しみだ。そしてブラサキは明日もパームスにて。”伊東ミキオ”さんと”DUKE SHIMOYAMA”さんと共に奏で、祝うのだ。どんな曲かはお楽しみに。相当面白いと思うよ。
さてさて今日はいい天気。しばらく行けていなかった接骨院で整えてもらい、八百屋さんで糠漬けを買って帰宅。傘を持たないって素晴らしい。なんて身軽なんだ。心の傘も置いていこう、などと言ってみる。
それでは皆さま、よい週末を。