2026年はまだまだ序の口のはずだが、すでに長い時が流れたように感じている。特に今月は長い。2月がずっと続いているような感覚だ。いつだって思い返せば儚くあっという間なのに。先日の年越しなどまるで大昔のことのようだ。そんな感覚に包まれながら先日56歳になった。幸いなことに元気だ。誕生日は妻と食事へ出かけた。彼女が企んだサプライズに喜んだ俺は初めて行ったその店も好きになった。さらに、その店で新しい出会いがあった。仲良くしていけそうな方々である。
それから数日経ったある日、親父に会いに行った。バレンタインデーだった事とは関係ないがウイスキーをプレゼントしようと考えた。電車を乗り継ぎ二宮という駅で降りバスに乗り換えた。左側に海を感じながら国道をゆっくり西へ進む。この辺りは十代の頃の思い出が濃い。景色もさほど変わっていないように思う。たまにセンチメンタルがやってくる。実体はない。香る程度だ。数分でバスを降り、海の方へ角を折れた。海の手前の建物の自動扉を通り、スリッパに履き替え、親父の元へ。
「ビール飲む?」
「おー」
黒ラベルをプシュっと。コップに注ぎ、上半分が泡のそれを親父に渡した。俺は残ったやつを缶のまま。一時間ほど話した。言い出しにくいが「そろそろ帰るね」。
三階に暮らす親父が外まで見送りに来てくれた。すでに夕暮れ。ブルーが濃くなってきた。振り返ると、笑顔の親父は建物の中に帰っていった。再びバスに乗り二宮駅へ。電車に乗り東京へ。片道2時間程度。何かしら読んでいれば着いてしまう。この日も何かしらを読んでいたら着いた。
さて、56歳になった。掛け替えのない人たちに祝っていただいてとても嬉しいのです。ありがとう。心より。
しかし長いな2月。上着いらずの暖か陽気がしびれを切らせて覗きに来ちゃったじゃないか。
